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パティシエにも資格がある?どんな資格が必要?

悩む女性・パティシエになるために資格が必要な理由とは

洋菓子づくりのプロで、憧れる人も多い仕事のパティシエ。見ても食べても楽しめる、芸術のようなお菓子を生み出すためには、深い知識と高い技術、そしてセンスが求められます。

そんなパティシエになるために資格は必要なのでしょうか。

結論としては、資格はなくてもパティシエにはなれます。洋菓子店やパティスリーに就職し、仕事をしながら修行をするという道です。

ですが日本は資格を優遇する文化が根強く残り、仕事の選択肢がどうしても狭まります。そのため日本でパティシエの仕事に就くのであれば、資格を保有することがその第一歩。選択肢を広げること、活躍できるフィールドを広げるために資格は大切です。

パティシエって、何か資格があるの?

「パティシエ」という資格はありませんが、パティシエが取得するための資格がいくつか存在します。どれも厳密にはパティシエのための資格でなく、お菓子の製造に関わる包括的な資格であったり、接客に関する汎用的な資格です。

とくに資格が無くても、仕事はできる?

パティシエの仕事は資格がなくても働けます。資格保有者の独占業務ではないため、まったくの無資格でも仕事ができますし、パティシエを名乗ることも可能。

パティシエとして働きはじめるための方法としては、一般の求人情報からの応募や知り合いを通しての紹介などがあるでしょう。洋菓子店でパティシエとして修行を兼ねて働く場合、知り合いを通しての紹介であることが多いです。

いずれにしても働ける場所が絞られてはきますが、無資格でもパティシエとしてのキャリアはスタートできます。ですが洋菓子店などでは、専門学校の卒業生を新卒で採用するパターンが多いため、できることなら学校へ通い、資格を取りつつ卒業と同時に就職する方が断然有利です。採用担当者も資格を持っている方なら安心されますよね。

資格があれば、できる仕事が広がる?

パティシエに関連する資格があれば、仕事の幅は広がります。

そもそもパティシエに関連する資格を取るためには、製菓技術以外のことも時間をかけて学習しなければなりません。

お菓子を作る技術はもちろんですが、衛生学や食品学、栄養学に社会学と幅広い知識まで勉強しているため、資格を持っているというだけで信頼性は高まります。基礎的な知識と技術を習得済みである証でもあり、職場内でも仕事を任されやすくなる可能性があります。

また新規での就職活動では、たくさんの洋菓子店やホテルなど選択肢が増えることから、自分が働きたいフィールドも増やせます。なくてもパティシエになれますが、様々な面で有利なことから、関連する資格はできるだけ多く取得しておきたいですね。

独立にも有利?

資格を持っていると、独立開業の際にも有利になるでしょう。

食品衛生責任者の取得が容易になるだけではなく、製菓衛生師や菓子製造技能士を持っていれば、従業員さんへの説得力も変わりますよね。

また接客に関わる資格も同じです。現場仕込みの接客も重要ですが、体系立てて整理された接客の技術を学ぶことはとても重要。従業員さんへの指導にも大きな力を発揮することでしょう。

このようにパティシエに関わる一連の資格を持っていることは、お店での業務だけではなく独立開業にも役立ちます。

パティシエの資格って、どんな資格?

パティシエに関わる資格は、大きくわけて3つあります。

  • 製菓衛生師
  • 菓子製造技能士
  • サービス接遇検定

どの資格もパティシエ関連の専門学校で取得(受験資格も含む)できるもの。

3つの資格をすべて取るためには、2年ほど学校に通う必要があります。

製菓衛生師(国家資格)

製菓衛生師は国家資格で、安心かつ安全なお菓子を作るための知識や技術を要する者として認められる資格です。また試験には食品衛生学や公衆衛生学、食品学、栄養学等に製菓理論や製菓技術の内容も問うため、安全で高い技術でお菓子を作る技術があるという証明にもなります。

さらには海外で働く際に必要なビザの取得が比較的有利になるというメリットも。一人前のパティシエになるために、海外で勉強したいという人には、製菓衛生師の資格があるだけで有利ということですね。

そして、独立開業時には食品衛生責任者を「申請するだけ」で取得できます。通常なら講習を受けたうえで、自治体へ専任者を登録申請しないといけませんから、この手間が必要ないことはメリットだといえるでしょう。

製菓衛生師の合格率はおおむね60〜80%で、その年によっても大きく変動します。独学での取得も可能ですが、専門学校等で体系的に勉強したいですね。

菓子製造技能士(2級、1級)

菓子製造技能士とは、お菓子の高い製造技術と深い知識があると認められる国家資格です。この資格は「洋菓子製造技能士」と「和菓子製造技能士」にわかれますが、プロのパティシエを取得するために必要なのはもちろん前者。「パティシエ」という資格がないため、定義が曖昧な「プロのパティシエ」という肩書ですが、この菓子製造技能士を取得しているかいないかでイメージが変わりますね。プロの定義が曖昧なパティシエだからこそ、菓子製造技能士を取得していると高い製造技術や深い知識を持つパティシエとして、より活躍できるフィールドも広がりますし一流のパティシエを目指すためには、ぜひ保有しておきたい国家資格の一つです。

合格率は50%ほどとむずかしく、しっかりと試験対策を加味した学習と実技の修練が必要ですので、専門学校卒業後に就職してから十分に実務経験を積んでから受験する方がほとんどです。本校でも2年制の場合、卒業と同時に受験資格を取得できますので、就職後のステップアップとしてこの資格にチャレンジしていくことになります。

サービス接遇検定

サービス接遇検定とは接客のプロを認定する民間資格です。サービスに対する心構え・対人心理の理解・応対の技術・言葉遣い・態度・振舞いなどから、総合的に審査します。

パティシエの仕事はお菓子を作ることだけではなく、店頭での接客も欠かせません。お店が非常に忙しい時などは、接客する機会は多くなります。

接客を覚える方法として、現場で上司や先輩に教わることが多いですが、じつはマナーとして正しくないことを教わるのはよくあること。ですから接客の基礎を体系的に学び、現場で改善を提案するなど、資格取得で学んだことを活かすと、お店全体の接客技術の向上にもつながるため重宝されることでしょう。

お菓子を美味しくキレイにつくる技術も大切ですが、お店で購入いただくお客様への接客も同じくらい大切なのです。

合格率は以下の通りです。(平成29年11月実施)

  • 1級  … 33.5%
  • 準1級 … 83.1%
  • 2級  … 66.8%
  • 3級  … 61.6%

こうしてみると合格率はあまり高くなく、とくに1級に関してはかなり厳しい試験であることがわかりますね。裏を返せば、それだけ保有する価値がある資格だと考えることもできます。

むずかしい資格ですから、できることなら学校でしっかりと勉強をしたうえで受験するのが理想です。

フランスでは羨望の的

日本に「パティシエ」という資格はありませんが、ご紹介した通り、関連する資格があります。

ところがパティスリーの本場フランスでは、「パティシエ(男性型)」や「パティシエール(女性型)」は医者と同等の資格だとされる羨望の的です。とくに国家最優秀職人賞(MOF/Meilleur Ouvrier de France)を受賞するほどのパティシエは、日本でいうところの人間国宝並の栄誉だといわれるほど。お菓子の文化が根づいており、高い技術を持つパティシエが尊敬される素晴らしい文化なのです。

日本では人気が出始めた仕事ですから、より認知され、より大きく評価されるのはまだまだ先になりそうですが、パティシエという仕事が、世界ではたくさんの人から尊敬される最高の職業のひとつであることを知っておきましょう。

パティシエの資格、どうすれば取れる?

製菓衛生師や菓子製造技能士などパティシエに関連する資格は、大きく分けて2つの合格するための方法があります。

  • 実務経験を経て取得する方法
  • 製菓衛生師養成施設で勉強し取得する方法

どちらの方法でも受験資格がありますが、おすすめなのは製菓衛生師養成施設で勉強をする方法です。別の業界で社会人を経験された方がパティシエを目指す場合も、製菓衛生師養成施設にはたくさんのタイプがありますから、独学よりも学校で学ぶことをオススメします。

実務経験から取る方法

製菓衛生師と菓子製造技能士の受験資格のひとつに「実務経験2年以上」とある通り、実務経験があればどちらの資格も受験できます。かなりの努力があれば、仕事への従事と独学で2つの資格を取ることも可能かもしれません。

ですが実務経験で取得する場合、合格がかなり厳しくなることも事実。毎日長時間の激務をこなしながら、夜に勉強するのはかなりの忍耐が必要なこと、そして独学だけで多くの科目の学習をする必要があることから、相当な努力が求められるでしょう。

また受験に際して、お店で効率化を考えられてマニュアル化されている手順や技術と、試験で求められる基本の手順や技術は違う場合があり、かなり戸惑うこともあるかもしれません。

製菓衛生師養成施設で勉強する方法

製菓衛生師や菓子製造技能士を取得する場合、多くは製菓衛生師養成施設へ進学し、そこで勉強をしてから取得することがほとんど。製菓衛生師養成施設とは、多くの場合「専門学校」を指しますが、他にも短大や4年制の大学、高等学校で専攻できる場合もあります。

ちなみに製菓の専門学校で学ぶことは、体系立てられた授業を通して時間をかけて学べること、不明点や課題点が明確化でき、すぐに解決できる環境があること、試験に必要な基本技術を繰り返し実習で学べることなど、良いことがたくさんあります。

たとえば筆記では非常に多くの学科があり、出題範囲も広いです。そんなたくさんの学習範囲の中で、学科全体の俯瞰的な学習と、試験で出題されやすい問題の傾向などを両方学べることが大きなメリット。受験合格者の多くが専門学校生であることを考えると、集中して勉強できる環境が受験に有利なことがわかります。また、菓子製造技能士2級の受験資格を取得できる製菓衛生師養成施設もあります。

夜間課程・通信教育で取る

社会人経験者がパティシエに関連する資格を取る時に、検討したいのが夜間課程と通信教育です。

夜間課程での学習は、昼間にそれぞれの職場で働き、夜に学校へ通って授業を受けます。働きながら授業を受けるのはたしかに大変ですが、それでも独学をするより効率よくポイントを抑えて学べるため、受験にはかなり有利。また学校によっては、昼間の仕事にパティシエに関わる職場で働ける、インターンシップ制度を設けている学校もあります(当校も制度あり)。

また、自宅でのレポート学習と学校でのスクーリングで製菓衛生師の受験資格を取得できる通信課程を併設する学校もあります。(本校は通信課程を設置)

勉強する科目

パティシエに関わる資格の、製菓衛生師や菓子製造技能士で出題される科目はかなり多いです。

まずは製菓衛生師ですが「衛生法規・公衆衛生学・栄養学・食品学・食品衛生学・製菓理論 ・製菓実技」と7つの科目が該当します。

これまで学んだことの少ない科目の学習をするために、相当な学習量が必要なことがわかります。一度落ちてしまえば、つぎに受験できるのはかなり後になるため、その日までまたたくさんの勉強を続けなければなりません。

これでは次のステップになかなか進むことができず、本来やるべきことが後回しになってしまうことに。できることなら専門学校で時間をかけてしっかりと勉強し、一発合格を狙うことをオススメします。

パティシエの資格まとめ

パティシエになるために資格は必須ではありません。

ですがパティシエとしての基礎知識を深めるため、資格保有者として認められるため、就職を有利に進めるためにも関連する資格を取得しておきたいものですね。

プロのパティシエと呼ばれるための基準も、資格を持っているかいないか。

それなら絶対に持っている方が有利であることに間違いはありません。

そしてパティシエの資格に合格するためには、独学で勉強する方法と学校に通う方法の2つがあります。

ですがとても多くの科目を勉強しなければならないことからも、独学での受験は相当大変なもの。

できることなら学校でしっかりと基礎を勉強して受験に臨み、卒業までにパティシエに関連する資格をできるだけ多く取得したいですね。

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