パティシエになるには、どうすれば良い?
2018年10月31日
ケーキや焼き菓子など、幅広いお菓子づくりの専門家がパティシエです。華やかであこがれる人も多く、パティシエになりたいという人は、年々増えています。
そんな人気の職業である、パティシエになるためにはどうしたらよいのでしょうか?
たくさんの知識や技術、そしてセンスも要求される仕事。つまりパティシエになるためには、勉強・練習・経験を積む必要があるということですね。この記事ではパティシエになるために必要な知識や、働ける場所、さらに上のステージを目指すために大切なことをご紹介します。
パティシエになるための勉強
パティシエになるためには、つぎの3つの勉強が基本となります。
- お菓子に関する材料や歴史のアレコレ
- お菓子づくりに必要な技術
- お菓子づくりに必要な道具と扱い方
技術や道具の使い方は、洋菓子店などの現場で働くと覚えられますが、材料や歴史等詳細な知識や理論は、専門学校で学ぶとより深く理解できます。
お菓子に関する歴史アレコレ
洋菓子のルーツはご存知ですか?
私たちが食べているケーキなどのお菓子の原型は、じつは古代エジプトにあります。8,000年ほど前のエジプトで、小麦粉を水でこねて焼いたパンの原型が食べられ、時間の経過とともに偶然にも発酵パンへと形を変えました。
その後製パン技術はギリシャ、ヨーロッパへと伝わり、そのころにパンとお菓子に分岐。はじめは祭事や儀式のお供え物として作られていましたが、少しずつ一般市民にも浸透していったのです。
甘みをつけるために、はちみつや果物が使われていましたが、やがて砂糖が誕生したことで、今のお菓子に近い製法ができあがりました。すくなくとも10世紀ごろには、今のお菓子づくりに近い製法があったということ。普段当たり前に食べているお菓子も、じつはかなり長い歴史があるなんて驚きますよね。
お菓子づくりに必要な技術を学ぶ
お菓子づくりに必要な技術は多岐に渡ります。
詳細まで追いかけると、いくら時間があっても足りないほどです。例えば
- ナッペ
- 絞り
- パイピング
- フルーツカッティング
- 生地づくり
- テンパリング
- デコレーション
このような基礎の技術にはじまり、多くのテクニックがあるのです。
生地ひとつ作るだけでもその種類は膨大で、スポンジ生地のほかにも、パイ生地やシュー生地などたくさんあります。材料の分量に混ぜ方、焼き方にいたるまで、お菓子によってすべて異なるのです。
また、お菓子を美しく彩るための技術にはいくつもの手法があり、しかもセンスまで必要。技術だけではなく、普段からたくさんのお菓子を見て、デコレーションのセンスも身につけなければなりません。
そして何よりもむずかしいのが「つねに一定の味を再現し続ける」こと。
お菓子づくりでは、今日作る味と一ヶ月後、一年後に作る味が違ってはいけないのです。ファンが納得するように、いつ食べても同じお菓子の味を提供する技術が求められます。
お菓子づくりに必要な道具の扱い方を学ぶ
お菓子づくりにはたくさんの道具が必要です。
- ナイフ
- パレットナイフ
- ヘラ
- 粉ふるい
- 泡立て器
- ボウル
- 絞り袋
- 焼き型(オーブン)
などなど、これでもごく一部です。
パシティエになるためには、お菓子を作るために、たくさんの道具を使いこなす必要があります。またそれぞれの道具もさらに細分化されていて、使うシチュエーションを覚えることも必要でしょう。
パティシエになるには 働き方を選ぶ
パティシエの仕事内容についてはご存知でしょうか。
一般的に考えると、パティシエはお菓子を作るプロで独創的なアイデアとセンスを持つ、という華やかなイメージがありますが、じつは毎日決められたお菓子を淡々と作る単純作業を繰り返すこともあります。
もちろん新しいお菓子の案を作る時には独創的なアイデアも必要ですが、毎日の仕事では、同じお菓子をできるだけ安定的に、すばやく失敗のないように作り続けることを求められます。そんなお菓子づくりのプロであるパティシエには、たくさんの活躍できるフィールドがあります。
洋菓子店・パティスリー
パティシエが働く場所の筆頭が洋菓子店・パティスリーですよね。
いわゆる「ケーキ屋さん」と呼ばれる、洋菓子店・パティスリーで、プロとしてお菓子を作り販売する仕事。規模としては小規模であることが多く、オーナーやシェフから直接指導をしてもらえる機会も多いため、貴重な経験を積めることでしょう。
有名店になると一日に何百という数のケーキなどが売れ、多くのファンもいることからやりがいも大きなものとなります。とくにクリスマスシーズンなどの繁忙期は大忙しになること間違いなしでしょう。
洋菓子店には、チョコレート専門店等、専門分野に特化したお店もあるほか、それぞれのお店にお客様が一つの商品を目当てに来店される、有名な一品があるお店も多いです。
ホテル・結婚式場
ホテルや結婚式場でもパティシエは活躍できます。たとえばホテルが併設しているレストランでは、お客様にふるまうデザートのプロとして、お菓子づくりを担当することになるでしょう。
また結婚式場では華やかなウエディングケーキやコースのデザートなどを担当します。人生の大きな節目である結婚式で、ウエディングケーキを担当し、喜んでもらえることは大きなやりがいを感じられるはずです。
ですがたった一回の結婚式ですから、失敗することが許されない重圧がかかることも理解する必要があります。
またホテルや結婚式場での仕事は、持ち場で分業制になるため、一つのお菓子を通しで担当することは少ないです。そのため技術の習得に偏りが出ることもありますが、ローテーションで様々な持ち場を経験していきますので、じっくりと技術習得を図っていくことができます。
レストラン
レストランにもパティシエの活躍の場があります。
コース料理等のデザートの担当を少人数で全面に任されることから、仕事を覚えるスピードも早くなり、やりがいを感じられます。
レストランの主役は料理ですから、洋菓子店のようにお菓子がメインではありません。ですがコースの最後を彩るデザートを担当することは、お客様から感謝の言葉をいただける素晴らしい仕事。
カフェ、喫茶店
パティシエはカフェでも大活躍です。
カフェで提供する、エスプレッソを中心としたコーヒーには、おいしくてオシャレなスイーツが欠かせませんよね。コーヒーを楽しみにしているお客様も多いですが、そのお店のスイーツが目当てで来る人も多いのです。
そして店内でデザートを作れる担当もそう多くはなく、カフェでデザートを担当されるのは、2〜3人程度です。忙しくはありますが、その分頼りにされる存在ですし、お店のスイーツの評判を左右する責任重大な仕事でもあります。
小規模なお店であることから、お客様の言葉もダイレクトに届くため、自分の作った作品に対する評価も直に伝えられることが多々あるでしょう。
その評判や意見をスイーツづくりに反映でき、自分で企画も可能なところがおもしろい仕事です。
専門学校の先生になる
パティシエの業界を支える者として、専門学校の先生になるという道もあります。
これからパティシエの道を志す、たくさんの若者たちを支える仕事は大変な反面、やりがいもあります。実際に経験するまでわからないことですが、人に教える仕事は自分でやる仕事よりも、実はずっと難しいのです。
お菓子を美味しく作ることのできる技術と、人に教える技術はまったく別で、たとえ一流のパティシエであっても学校の先生ができるかといえば違います。それほど人に教える技術は難しく、だからこそ常に必要とされる仕事なのです。
卒業した教え子たちが、たくさんのフィールドで活躍していることを知った時には、とてもうれしい気持ちになれるでしょう。生徒によっては交流が長く続くこともあり、そのような繋がりもやりがいのひとつですね。
お菓子教室の講師
最前線での仕事以外にも、お菓子教室などで講師をする、といった道もあります。
メインで仕事ができるケースもあれば、結婚後・出産後にもう一度仕事をしたい、といった場合にもはじめやすい仕事です。やりがいという点では作り方を教えるむずかしさを感じる部分もありますが、お菓子を作るだけでなく教えることも好きであれば、お菓子教室の講師という道があることも知っておきましょう。
どんなパティシエになりたいか
このようにひとことでパティシエといっても、たくさんの働く場所があります。
そして活躍のフィールドを決める時に、理解しておきたいのが「自分がどんなパティシエになりたいか」ということ。
こればかりは自分で考えるほかにありませんが、願望や動機をハッキリとさせておけば、自然と働きたい場所が決まるはずです。
お菓子づくりの最前線で、パティシエ本来の仕事をやりたいなら洋菓子店・パティスリーですが、それ以外にもたくさんの道があります。すぐにはっきりさせることは難しくても、きっちりと目標や目的を考えながら、パティシエになるため勉強をしたいですね。
パティシエとしてさらに上の働き方を狙うなら
パティシエとしてもっと上のレベルを目指すのであれば、他にも方法があります。より高みを目指したい人や、業界のためにできることをしたいという人にオススメです。
例えば、海外への留学。これは、人とは少し違う方法で、このような生き方を選ぶこともおもしろいですよ。
海外へ留学
本場のヨーロッパへパティシエの留学・修行に行き、洋菓子の本場で、すべてを捧げてどっぷりと業界に浸かることは、大きな経験となります。
ところで、日本のパティシエのレベルは、他の国と比較しても高いことはご存知ですか?世界レベルのコンテストで、日本人パティシエが賞を取ることは珍しいことではなくなっています。日本人独特の感性や、繊細な技術で作られる洋菓子は、世界でも評価されているのです。
ですが海外で学ぶことは、まったく別の意味があります。
本場のフランスでは、パティシエが医師と同じくらいのステータスを持つ職業と認知されています。つまりだれもが憧れる仕事の一つですから、それだけ多くのパティシエの卵たちが、必死で競争し合う環境でもあるということです。だれもが切磋琢磨し合う環境で学ぶことは、それだけで大きな自信になるはずです。
本場の文化を肌で感じて理解できれば、国内で学んだパティシエとは違う視点で仕事に臨めるでしょう。
パティシエとして、どんな働き方をしたいのかがポイント
さらに上の道を目指す場合でも、どんな働き方をしたいのか、どうなりたいのかを考えることがポイントです。
明確な目標がないのに海外に行っても失敗してしまいますし、目標のないまま留学しても、やりがいは感じられないでしょう。
その道に進む明確な動機は、やりがいを感じながら楽しく仕事をするために欠かせません。
パティシエになるには、向き不向きはあるの?
パティシエを目指す時に「自分に適性はあるのかな?向いてないかも…。」と悩む人もいるかもしれません。たしかにパティシエになるために、多少は味覚が優れていたり、手先が器用だったりすることは、大切な資質に違いないでしょう。
ですがどちらにも該当しないからと、パティシエの道を諦める必要はまったくありません。
適性よりも動機や熱意の方が大事
パティシエになるためには、もともと持っている資質よりも動機や熱意の方がずっと大切です。
「お菓子づくりが大好き」
「絶対に憧れているパティシエになりたい」
こんな強い気持ちがあれば、だれでも一流のパティシエになれます。
だれよりも一生懸命に学び、そして仕事ができることは、どんな才能よりも大切な資質なのです。