京都製菓BLOG

おいしい紅茶の入れ方をご紹介

紅茶発祥の地であり、世界一紅茶を愛する国・イギリスでは、ほとんどの人が毎日2〜3杯以上の紅茶を飲んでいます。

朝昼晩の3回のほかに、朝起きてすぐに1杯、休憩中に1杯、といった具合に、食事中の飲み物としてだけではなく、嗜好品としての役割も兼ねるもの。

これだけ紅茶を愛するイギリスでは、当然紅茶をおいしくいただくための入れ方をだれもが知っています。

せっかく同じ紅茶を楽しむのなら、おいしい方が絶対にいいですよね。

この記事では、実際に本場イギリスで飲まれている紅茶の入れ方をくわしくご紹介します。

あなたもこの紅茶の入れ方を参考にすれば、自宅でもかならずおいしい紅茶が楽しめるようになるはずです。

まずは紅茶の入れ方のゴールデンルールを知ろう

おいしい紅茶を入れるためには、多くのポイントがありますが、その中でもひときわ大切なのが、このゴールデンルールです。

ゴールデンルールとは、紅茶を入れるための基本中の基本で、これを守らずしておいしい紅茶を飲むことはできないといったもの。

いろいろなポイントを試す前に、まずはこのゴールデンルールを学び、そのとおりに紅茶を入れてみることを強くおすすめします。

 

質のよい茶葉を使う

まずは何よりもこれ。

茶葉がすべてではありませんが、質の悪い茶葉を使えば、どれだけ入れ方にこだわっても味の限界があります。

ですから本当においしい紅茶を味わいたいのなら、まずは質のよい茶葉をしっかり選んでくることからはじめましょう。

自宅で手軽に入れるのであれば、紅茶で有名な大手メーカーのものを選んでおけば問題はないはず。

よりおいしい紅茶を楽しみたいのであれば、専門店などでアドバイスをもらいながら上質な茶葉を手に入れましょう。

 

正確に茶葉を測る

茶葉の量は正確に測らなければなりません。

茶葉が多すぎれば濃すぎておいしくありませんし、少なすぎれば当然薄くておいしくありません。

量を多めにして抽出時間を短くしたり、反対に量を少なくして抽出の時間を増やしたりする方法もありますが、これでは本来のおいしさを感じることはできません。

やはり適量を適度な時間で抽出するのがいちばんなのです。

おいしく飲むための茶葉の量は、つぎを目安にしてください。

  • ティーカップ1杯 … 2g(ティーキャディスプーン1杯)
  • ティーカップ2杯 … 2〜3g(ティーキャディスプーン2杯)
  • ティーカップ3杯 … 3〜4g(ティーキャディスプーン2〜3杯)
  • ティーカップ4杯 … 4〜5g(ティーキャディスプーン3〜4杯)

グラム数を計る時には、いろいろな方法がありますが、いちばん便利なのはティーキャディスプーンを使うことです。

ティーキャディスプーンとは、紅茶の茶葉を計るために作られた専用のスプーンで、1杯で正確に2gを計測できる便利なもの。

イギリスの家庭では、かならず見かける道具です。

 

質のよい軟水を使う

紅茶に適ししているのは軟水です。

ヨーロッパでは、基本的に硬水の土地が多いのですが、おいしい紅茶を飲むために、わざわざ軟水を調達することもあるそうです。

日本では土地の特性上、水道水がほぼ軟水の土ところが多いため、紅茶を入れるために適しているといえます。

沖縄や関東地方の一部では、水道水が硬水寄りだとはされていますが、それでも海外に比べれば水の質は柔らかいといえるでしょう。

また紅茶を入れる水には、空気がたっぷりと含まれているものがよいとされているため、お湯を沸かすポットに入れる時に、できるだけ勢いよく空気を含ませるとよいそうです。

サッと沸騰させて、お湯が古くなる前に紅茶の抽出に使いましょう。

ちなみにコーヒーの場合は、硬水が適しているとされていますから、同じ水でも紅茶と相性が悪いので気をつけてくださいね。

 

鉄を使っていないティーポットを使う

素材に鉄を使っていないティーポットを使うことが原則です。

鉄を使ったティーポットは、紅茶のタンニンが鉄と化合して味や風味を大幅に落としてしまいます。

また見た目も黒っぽく、紅茶の美しい色が損なわれてしまうのです。

そのため陶器・銀・セラミックなど、鉄を使用していないティーポットをかならず使うようにしてください。

なおそこまで重要ではありませんが、茶葉が対流を起こしやすく、ジャンピングしやすい丸い形のティーポットを利用するのが理想だとされています。

上手においしい紅茶を入れられるようになったら、色まで楽しめて保温性の高い、陶磁器製の白いティーポットに替えるとよいかもしれませんね。

もちろん緑茶の急須を使っても、問題ありません。

 

蓋付きのティーポットを使う

紅茶の温度を落とさないためにも、蓋付きのティーポットを利用しましょう。

その理由は保温製の問題。

なぜならお湯の温度が下がってしまうと、その分茶葉から抽出できなくなってしまうからです。

もちろん使いにくいのは論外ですから、注ぐ時に持ちやすく、蓋が落ちない形状のものを選びましょう。

また見た目がよいからと、複雑な形をしたものを選ぶと、日常づかいでは少し使いづらいこともあるでしょうから、シンプルなものを選ぶことが基本。

本場イギリスで使われてるティーポットの形を参考に選ぶとよいと思います。

 

リーフティーの入れ方

それではここからは、リーフティーの実際の入れ方について順に説明します。

リーフティーとは、茶葉の形がそのまま残ったもので大半の紅茶に該当するものです。ちなみに、葉を刻んで粉状にして強く発酵させたCTCという種類の紅茶もあり、こちらはミルクティーに向いていると言われています。

 

 

お湯を沸かす

まずはお湯を沸かしましょう。

茶葉の旨味をしっかりと抽出させるためにも、お湯はしっかり沸騰させることが大切。

しっかりとボコボコ沸騰させたあとに、1分ほど時間を置いて冷まさせるとより良いとか。

温度が足りない場合は、紅茶がジャンピング(ティーポットの中で循環)せず、抽出がしっかりできないので、旨味や風味が出ません。

使用する水はもちろん軟水で。

日本国内なら、大半の場所の水道水が該当するので、特別な水は準備しなくても大丈夫でしょう。

もし水にこだわるのなら、できるだけ軟水を選ぶようにしてください。

 

ティーポットにお湯を入れて温めておく

ティーポットが冷たいままだと、どれだけ熱いお湯を入れたとしても、温度が下がってしまいます。

そのため多めにお湯を沸かして、茶葉に注ぐ前にティーポットにお湯を入れて温めておきましょう。

温めておくだけですから、沸騰したてのお湯でも構いません。

またこの時にティーカップにもお湯を注ぎ、温めておくとよいでしょう。

 

お湯を捨てる

ティーポットがじゅうぶんに温まれば、お湯をそのまま捨てましょう。

特別な手順はありません。

 

ティーポットに茶葉を入れる

ティーポットに茶葉を入れましょう。

ゴールデンルールで説明したとおり、1人分あたり2gほどが理想です。

この時にティーポットの底には、お湯が少し残っていると思いますが、完全に切る必要はありません。

多少残っていてもまったく問題はないので、気にしなくても大丈夫です。

 

ポットにお湯を入れて蒸らす

あとはお湯を入れてじゅうぶんに蒸らして抽出させます。

もちろん熱が逃げないように、ティーポットに蓋をしてください。

この時に熱の対流によって、ティーポットの中で茶葉が跳ねるように浮き沈みする、ジャンピングしているのが理想です。

目安の時間としては、つぎのとおり。

  • 細かい茶葉 … 2.5〜3分
  • 大きめの茶葉 … 3〜4分

タイマーを使うほど厳密には計らなくてもOKですが、できるだけ適切な時間を守るようにしましょう。

抽出時間は短すぎても長すぎても、最適な味を出すことはできません。

 

ティーカップに均一に注ぐ

じゅうぶんに抽出できたら、あとはティーカップへ均一に注いでいきましょう。

濃さが均一になるように、少しずつ回し注ぎをしてください。

1杯ずつ入れてしまうと、最初に入れたものは薄く、最後に入れたものが濃くなってしまいます。

 

ティーバッグでの紅茶の入れ方

続いて日常ではお世話になることの多い、ティーバッグでの入れ方についてもご紹介します。

手軽でかんたんに紅茶が入れられることもあり、高級店でもティーバッグを使うことも多いですよね。

ですがせっかくなら、ティーバッグでもおいしく飲める方法を知っておきたいところ 。

どうすればいつものティーバッグで、おいしく飲めるようになるのかを解説します。

 

お湯を沸かす

まずはしっかりとお湯を沸かしましょう。

お湯の温度は100℃前後が理想で、ここはリーフティーと同じです。

100℃の目安は、ボコボコと大きな泡がしっかりと立ち、そこから火を止めて1分間ほど置くとちょうどよい時間に。

 

カップにお湯を入れて温める

マグカップやティーカップにお湯を注ぎ、事前に温めておきます。

そのまま注いでしまうと、低い温度のカップに熱を奪われて、お湯の温度が下がってしまいます。

つまりしっかりと茶葉のエキスが抽出できないということに。

紅茶を入れる時の温度は、100℃前後の熱い温度が原則ですから、カップはかならず温め、お湯の温度が下がらないようにしましょう。

 

お湯を捨てる

カップが温まったら、お湯を捨てましょう。

ただ捨てるだけでOKです。

 

ティーバッグを入れてお湯を注ぐ

カップにティーバッグを入れてお湯を注ぎます。

とくに重要な点はありませんが、飛び散らないように、ゆっくりとカップのフチから滑らせるように注ぎましょう。

もちろんティーバッグは、紅茶1杯につき1つです。

 

茶葉を蒸らす

お湯を注ぎ終わったら、蓋や代わりになるソーサーなどを乗せて、しっかりと茶葉を蒸らします。

温度が下がらないための措置で、なければ仕方ありませんが、できるだけ蓋はした方がおいしくできるのでおすすめです。

抽出時間はティーバッグによっても異なるため、メーカー指定の時間を目安にしてください。

 

ティーバッグを取り出す

時間が経ったらティーバッグを取り出し、あとはおいしくいただくだけです。

ひとつのティーバッグから、2回抽出する人もいますが、おいしく飲むのなら1回で使い切るようにしましょう。

1つのティーバッグで2回は、おいしくのむためにはさすがに向いていません。

 

アイスティーをおいしく入れるコツ

紅茶はホットで味わうことが基本ですが、暑い日にはひんやりと冷やしたアイスティーも楽しみたいですよね。

おいしいアイスティーを入れる方法、なんて聞くとなんだかむずかしそうですが、じつはとてもかんたんに作れてしまいます。

 

濃い目に紅茶を入れる

まずはおいしい紅茶の入れ方どおりに、ホットティーを作ります。

この時、茶葉の量はそのままで、お湯の量を半分に減らして蒸らすことで濃いめに抽出してください。

時間は短めで2分程度にしておきます。

 

別のティーポットに移し替える

しっかり蒸らして抽出できたら、別のティーポットに移し替え、温かいうちに砂糖やグラニュー糖などを入れて甘みをつけます。

アイスティーにしてから甘みをつけようとしても、なかなか溶けないこともあるため、この時点で甘みを付けるとよいでしょう。

冷たい飲み物にも溶けやすいガムシロップでも甘みを利かせられますが、自然な甘みである砂糖やグラニュー糖の方がアイスティーには合います。

 

氷をいっぱいに入れたグラスに注いで一気に冷やす

グラスいっぱいに氷を注ぎ、そこに紅茶を注いで一気に冷やします。

自然に冷えるのを待っていると、酸化するなど風味が飛んでしまうため、氷で一気に冷やすことがとても重要。

あとは氷が溶け切る前に、おいしくいただきましょう。

いろいろなアイスティーの作り方がありますが、私が試してみたところ、この方法がいちばんおいしいと思いました。

 

紅茶の入れ方まとめ

イギリスで生まれた紅茶は、おいしく飲むためのルールが存在します。

数百年の歴史の中、毎日飲まれているわけですから、おいしく飲むための方法が考案され続け、そこで洗練されてできたものが「ゴールデンルール」というわけですね。

どれもごく些細なように見える所作ですが、ひとつひとつに意味があることですから、本当においしい紅茶を楽しむためにはぜひ参考にしてみてください。

おいしい茶葉を使うのがいちばんですが、普段飲んでいる茶葉でも、ていねいに入れてみると、いつもよりずっとおいしく紅茶が楽しめるようになるはずです。

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