パンの歴史は8,000年以上!パンがあったから世界の文明も栄えた
2018年11月28日
日ごろ何気なく食べている、みんなが大好きなパン。
世界の広い地域で主食となっている重要な食料で、とても歴史の長い食べ物でもあるのです。
その歴史はなんと8,000年にもなるといわれ、実は日本でも、江戸時代から作られていました。サムライの時代にパン、とっても不思議な感じがしませんか?
だれもが当たり前のように食べている、パンの長い歴史についてご紹介します。
パンの歴史は紀元前4,000〜6,000年以上昔に始まった
パンのルーツは紀元前4,000〜6,000年(約8,000年前)のエジプトだといわれています。
エジプトではいちはやく小麦の栽培がはじまり、それが文明の発展につながりました。パンの原型は水でこねて焼いただけのシンプルな食べ物です。
そしてエジプト以外の地域でも小麦粉が作られるようになり、そのうち偶然にも発酵させてふくらませる「発酵パン」が生まれ、さらに「食料としてのパン」へと発展することとなります。
このパンの原型からできたお酒が、ビールのルーツでもある、というのはほんの豆知識です。
パンは古代ギリシャに伝わり世界へ
パンはその後、古代ギリシャへと伝わり、このころからパン作りを専門にする職人が登場します。
当時のギリシャではワインづくりが盛んでしたが、その過程のブドウ液から酵母菌が作られるようになり、よりたくさんのパンが生産されることになりました。
そこから世界中へと製法が伝わり、各地でたくさんの種類のパンが生まれ、主食へと定着したのです。
保存が効く食料であるパンが生産できたことで、各地の文明は栄えたということ。反対に考えると、パンが発達しなければ、文明の発達の歴史も、今とは違うものになっていたかもしれませんね。
パンは、キリスト教文化圏では、重要な食べ物だった
中世でのキリスト教文化圏では、パンは「キリストの肉」とされて大切に扱われました。教会と国により、製パン技術と文化は保護されながら、さらに発展することとなります。パン職人を育てる制度が整備されたのもこの時期で、今日の社会でも現存する「組合員制度」もここから生まれました。
なお中世では教会の保護により、製粉とパンを焼けるのは教会と修道院、そして貴族だけで、一般市民は料金を支払ってパン焼き窯を借りて焼くという仕組みでした。パンづくりは一般には開放されていなかったのですね。
パンとお菓子の関係
このころから、焼き菓子を中心としたお菓子が、盛んに作られるようになりましたが、その原型がパンです。
パンづくりをベースに、製法を変えながらお菓子へと分岐していきました。現在でも、「菓子パン」として、パンの中に菓子の要素が入っているものがありますよね。ベースが同じですから、一緒になるのも納得できます。
人々の主食として製法や味付けも発達
14〜16世紀ごろになると、イタリアからはじまったルネッサンス文化により、パン作りは庶民に開放されました。そこからパン作りの文化はさらに多様化し、製法や味付けも発達、そして欧州各地へと広まったのです。
なかでもこれまでの文化に縛られない自由な風土のアメリカでは、より合理的に、より生産的にパンがつくられるようになりました。
今ではだれもが口にしている、たくさんのスタンダードなパンは、じつはアメリカでは生まれたものも多いのです。
パンの日本へ伝来
パンが日本に伝わったのは、1543年のことです。
航海の途中で種子島に漂着したポルトガル人たちから、鉄砲とともに伝わりました。
この時はまだ生産するほどではなく、日本でパンが作られるようになるのは、しばらくしたあとに、宣教師フランシスコ・ザビエルが来日してからのこと。長崎の一部で、主に宣教師向けにパンが作られるようになりました。
しかししばらくすると江戸幕府の鎖国によって、キリスト教や異国との交流が禁止されたことで、一度は廃れてしまいました。
幕末にはじまったパン作り
鎖国からかなりの年数が経過し、日本の外の状況が一変したことが、国内でのパン作りのはじまりでした。
それはイギリスのアヘン戦争がきっかけ。
幕府はアヘン戦争に勝利したイギリスが攻めてくると危機感を持ちはじめます。そこで戦時に保存が効き、敵に見つかるリスクのある火を使わなくても食べられる食料として、パン作りをはじめるようになりました。
これが国内でのパン作りのスタートだったのです。
そのあとは時代は明治へと移り変わり、西洋文化の流入によって、パンの文化も一気に庶民に広がることとなります。
いかがでしょうか。今や多くの人の食卓を飾るパンには、こんなにも古い歴史がありました。和服を着て髪を結った日本人がパンを食べる、というのはなかなか想像しにくい情景ですが、そんな時代に思いをはせながら、いつものパンを食べると、少しパンのイメージが変わるかもしれませんね。