京都製菓製パン技術専門学校
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桜餅の2つの種類とは?起源や桜の葉の意味までご紹介


春になり桜が咲き乱れるころになると、無性に食べたくなるのが桜餅。

鮮やかでキレイな桜色で、いい香りのする、春の季節には欠かせないお菓子ですよね。

暖かい春の訪れを感じさせてくれるお菓子で、桜餅が大好きという人はとても多いのではないでしょうか。

そんな桜餅ですが、じつは全国で同じものではなく、関東風と関西風の2つの種類があることは知っていましたか?

この記事では、桜餅の起源や由来、関東風と関西風の桜餅が食べられている地域から、食べ方までいろいろな情報をまとめてご紹介します。

つぎの春には、この記事でご紹介した内容を思い出しながら、ぜひ桜餅を楽しんでみてください。

桜餅とは

桜餅とは小麦粉やもち米から作られた生地と、小豆餡、塩漬けにした桜の葉で作られた和菓子です。

桜色の色粉が使われることが多く、美しい桜色であり、桜の葉っぱの香りが特徴的。

名物にしているお店も全国各地にあり、桜餅が売られる季節になると、本格的な春の訪れを感じます。

ほかにも春の季節になると、一般のスーパーやコンビニなどでも、たくさん売られている光景を目にしますよね。

お茶の席やお花見で食べられることが多いほか、春の季節のおやつとして、家庭でごくふつうに食べられている伝統的な和菓子でもあります。

四季を感じられる和菓子の代表のひとつですから、和菓子というと、まずこの桜餅の名を挙げる人も多いことでしょう。

また「桜餅」は雛菓子としても食べられるもので、春の季語として詠まれます。

 

桜餅には地方で2つの種類がある

春の訪れを感じる、とてもおいしい桜餅ですが、じつは大きく分けて2つの種類があります。

  • ◆関東風桜餅(長命寺桜餅)
  • ◆関西風桜餅(道明寺桜餅)

どちらも由緒正しい桜餅ではありますが、由来や起源が異なり、食べられている地域も違います。

自分が住んでいる地域の桜餅しか見たことのない人は、桜餅に2つの種類があることを知って、おどろく人もいるのではないでしょうか。

この2つの桜餅、名前はどちらも桜餅と付きますが、使われる材料も見た目もまったく違うのです。

また材料だけではなく、食感もまったく違うことから、同じ名前でも別の食べ物と思ってよいと思います。

関東風桜餅は、生地を焼くことから、少しだけお饅頭のような食感。

人によっては八ツ橋のような食感だと感じる人もいるようですよ。

関西風桜餅は、もち米を使った道明寺粉を使うことから、もっちりとした食感。

関東風桜餅が主流のエリアでも「道明寺」という名前のお菓子として売られているのを、見たことがあるのではないでしょうか。

 

長命寺桜餅・関東風桜餅

関東風桜餅と呼ばれ、別名を長命寺餅とも呼ばれる東日本を中心に食べられている桜餅。

お餅は小麦粉に白玉粉や糯米粉、砂糖などを加えてやや薄く焼いたものを使いますが、軽く熱を通す程度でしっとり感を残します。

餡はこしあんを使うのが特徴的で、塩漬けにした桜の葉は3枚使われるのが一般的です。

生地が焼き上がったら、こしあんを丸めて2つ折りに包みこみ、水にさらして塩気を取った桜の葉を3枚使って包みます。

生地は2つ折りであることがほとんどですが、中には筒状にする場合もあり、つくり手や地域によっても少しずつ異なるそうです。

関東地方でたんに桜餅といえば、このお菓子を指します。

 

関東風桜餅の歴史・由来

関東地方桜餅の起源は、墨田区にある長命寺が由来だとされています。

隅田川は古来から、人びとを楽しませてくれる、美しい桜並木が名物ですよね。

ですが桜が散が散ったあとは、たくさんの落ち葉が出るために、掃除が大変だったそう。

この頭を悩ませる桜の葉を使ってなにかできないかと考え、塩漬けした桜の葉っぱで餅を包んで売り出したのがはじまりなのだとか。

もともとは長命寺へ墓参りに来る人への、おもてなしのために作られていたそうですが、隅田川によりたくさんの桜の木が植えられたことから、花見の季節の名物として広がったそうです。

桜餅そのもののルーツとしては、こちらの長命寺の桜餅が起源だとされています。

 

関東風桜餅が食べられている地域

関東風桜餅が食べられている地域は、つぎの通りです。

  • ◆関東地方全域
  • ◆福島県
  • ◆宮城県
  • ◆岩手県
  • ◆青森県
  • ◆秋田県
  • ◆山梨県
  • ◆静岡県
  • ◆長野県
  • ◆石川県
  • ◆島根県
  • ◆鳥取県

この中でも、関西風桜餅と混じって食べられている地域もあります。

関東風桜餅は、江戸の影響を大きく受けた地域を中心に広まったということですね。

ただ意外にも山陰地方など、関西圏の影響が強いエリアでも、関東風桜餅が食べられていることにおどろきます。

 

西日本でも山陰地方だけが関東風桜餅な理由

関東風桜餅が食べられている地域の中でも、異質なのが西日本・山陰地方である、島根県と鳥取県が含まれていることです。

諸説あるようですが、格式の非常に高い出雲大社の周辺では、江戸を含めた東日本からの参拝客が多く、その好みに合わせたために飛び地的に長命寺餅なのだとか。

山陽地方や近畿地方など、ほかはすべて関西風桜餅なのに、山陰だけが関東風桜餅なのはおもしろいですよね。

ちなみに山陰地方でも、関西風桜餅は「道明寺」としてふつうに売られています。

それでも県民は「桜餅」というと、圧倒的に「長命寺桜餅」なのだそうです。

 

道明寺桜餅・関西風桜餅

主に西日本を中心に食べられているのが関西風桜餅で、別名を道明寺餅とも呼びます。

その名前の通り、大阪にある道明寺という寺が興りなのだそうです。

素材はもち米を使った道明寺粉、小豆餡、塩漬けにした桜の葉を1枚だけ使用。

生地は道明寺粉を水に付けて蒸したあとに、粒の形が残る程度にこねて平らにします。

そこに餡を詰めたあとに、丸い形に仕上げ、塩を抜いた桜の葉1枚を巻けばできあがりです。

もち米がベースの道明寺粉が生地のため、もっちりとした食感がおいしい桜餅。

また生地に残した、もち米の大きさで食感が変わり、作り手や地域によっても微妙に違います。

 

関西風桜餅の歴史・由来

関西風桜餅の起源は、江戸で人気のあった、長命寺の桜餅を参考に考案したものだとされています。

道明寺が起源というよりも、道明寺粉を使ったものであることから「道明寺餅」と呼ばれている、という説が有力です。

1800年代前半に、大阪の北堀江の土佐屋というお店で売られ始めたのだとか。

もともとは関東の長命寺桜餅がルーツではありますが、今では関西の道明寺桜餅が、東日本で売られている光景も目にすることがありますよね。

反対に山陰地方を除く西日本エリアでは、長命寺餅が売られていること自体まずありません。

そのため西日本の人が、関東で長命寺餅が「桜餅」として売られているのを見ると、おどろくことが多いそうです。

 

関西風桜餅が食べられている地域

関西風の桜餅が食べられている地域はつぎの通りです。

  • ◆北海道
  • ◆東北地方の一部
  • ◆東海地方
  • ◆関西
  • ◆山陽
  • ◆九州
  • ◆沖縄
  • ◆宮城県
  • ◆その他甲信地方の一部など

発祥は関東風桜餅だとはされていますが、どちらかというと認知されているのは関西風桜餅なのではないでしょうか。

道明寺餅が、かなり広い地域で愛されていることがわかります。

 

なぜ北海道は関西風の桜餅なの?

関西風桜餅が食べられている地域を見ると、不思議なことに北海道が当てはまっています。

地域的には東日本ですから、甲信越地方や東北地方などと同じように、関東風の桜餅が主流でもいい気がしますよね。

その理由は、かつては瀬戸内海から日本海経由で、北海道と交易があったからなのだそうです。

ちなみに東日本の地域であっても、日本海側では比較的に関西風の桜餅が食べられていることがあります。

これも日本海経由で交易があったことが理由なのだとか。

このように桜餅ひとつをとっても、歴史を感じさせるエピソードがあるのはおもしろいですよね。

 

九州や沖縄に桜餅はあるの?

九州や沖縄にも桜餅はちゃんとあります。

食べられているのは、どちらも関西風桜餅。

九州で関東風桜餅を見かけることはまずなく、ほぼ全域で関西風桜餅です。

沖縄はどちらかというと、関東よりの風習が多い傾向がありますが、桜餅に関しては関西風が多いみたいですね。

ですが沖縄には、関東風の長命寺桜餅もしっかり売られています。

ちなみに沖縄には、春におなじみのソメイヨシノ(染井吉野)はなく、カンヒザクラ(寒緋桜)と呼ばれる色鮮やかな桜。

また桜前線も1月ごろから、沖縄本島の北部から南側に向かって進んでいくんですよ。

もちろん桜餅もそのころに食べられます。

 

桜餅の葉っぱは食べても大丈夫?

桜餅に使われている葉っぱは、桜が持つ独特の香りがしてたまらないですよね。

そんな桜の葉ですが「食べる派」の人と「食べない派」の人に、意見がキレイにわかれると思います。

育った家庭によって「お餅に付いてるんだから食べられる」と教わった人もいるでしょうし、「桜の葉は食べられないから食べちゃダメ」と教わった人もいるかもしれません。

実際のところは「食べても大丈夫だけど、食べ過ぎない方がいい」が答え。

食べ過ぎない方がいいという理由は、桜の葉が持つ成分にあります。

 

桜餅独特のいい香り・匂いはクマリンによるもの

桜餅を彩る特有のいい香りは、桜の葉が持つクマリンと呼ばれる成分です。

また生の桜の葉からは、ほとんど香りはなく、塩漬けにすることで香り立ちます。

体に極端に害があるわけではありませんが、クマリンには肝毒性あるとされていますから、食べ過ぎないようにしたいですね。

とはいえ、桜餅1つや2つくらいなら、体への影響はまずないので安心してください。

甘じょっぱい桜餅の葉っぱは、食べると香りがよくて本当においしいので、食べたくなる気持ちはよくわかります。

 

桜餅の葉っぱはソメイヨシノではなくオオシマザクラ

桜餅のイメージといえば、淡いピンク色で日本的イメージの強いソメイヨシノですよね。

お花見でだれもが楽しむ桜がソメイヨシノです。

ですが桜餅に使われる葉っぱは、じつはソメイヨシノではなく、オオシマザクラの葉っぱ。

その理由は、桜餅に欠かせない桜のよい香りが芳醇であることや、葉っぱに産毛がなく食用に適しているからなのだそうです。

ちなみにオオシマザクラは、品種改良を加えて開発された、ソメイヨシノの原種でもあります。

 

桜の葉っぱの抗酸化作用

桜の葉が使われる理由は、豊かな匂いや香りのためだけではなく、別の理由もあります。

それが桜の葉が持つ抗酸化作用です。

どんな食べ物でも、酸化すると味が落ちてしまいますが、桜の葉が生地の酸化を遅らせてくれることで、おいしさを保ってくれます。

また桜の葉で生地を包むことから、水分が失われるのを防ぐ効果もあります。

どれだけおいしい桜餅でも、水分が失われてしまうと、パサパサとしておいしくなくなりますよね。

たった数枚の葉っぱですが、大切な理由があって使われているのです。

 

桜餅のカロリーはどれくらい?

桜餅のカロリーは、ひとつで概ね200〜250kcalであることが多いようです。

桜餅1つでご飯茶碗1杯分くらいのカロリーがある計算ですね。

2つ食べるとご飯茶碗2杯分にもなってしまいますが、ご飯とは違って甘くておいしいため、どんどん食べられるのが怖いところ。

もちろん関西風桜餅と関東風桜餅でも異なりますし、大きさや使われる素材の分量によっても変わるため、参考程度に考えておきましょう。

またひとつ当たりのカロリーは、そこまで高くないように見えますが、生地や餡はほとんど糖質です。

食べ過ぎると、間違いなく太ってしまうお菓子ですから、食べ過ぎには注意してください。

 

桜餅はどれくらい日持ちするの?

桜餅の賞味期限は、おおむね2〜3日程度です。

比較的傷みやすいお菓子ですから、それよりも早めに食べてしまう方がよりよいでしょう。

できればその日のうちに食べてしまうのが理想。

時間が経てば、水分も少なくなり、酸化もしてしまうので味も落ちやすいです。

 

桜餅の保存方法は?冷凍保存はできる?

桜餅の保存方法は、常温で保管することです。

そのまま保存して、できるだけ早く食べてください。

また冷凍保存すれば日持ちもしそうですが、冷凍すると水分が飛んでしまったり、もち米が固くなって味も落ちてしまうので向いていません。

もちろん冷凍保存できないわけではありませんが、味がかなり落ちてしまう恐れがあるのです。

もしやむを得ずに冷凍保存する場合、自然解凍をしてください。

これは桜餅だけではなく、もち米を使ったお菓子全般に当てはまります。