京都製菓BLOG

パン職人が使うパン作りに必要な道具とは

さまざまな種類のパンを毎日焼くパン職人は、日々さまざまな道具を使いこなしながら、美味しいパンを焼き上げています。パン職人を目指す人なら、どんな道具を使ってパンを焼いているのか、どんな道具をそろえなければいけないのか、きっと知りたいはず。そこで今回は、パン職人がパンを作るときにどんな道具を使っているのか、そしてそれらの道具はどのように使われているのか、などを紹介します。

パンの材料を計量する道具

パン作りに使う材料を計量するときに必要なのものは、まず「デジタルスケール」です。これはデジタル式のはかりで、材料を計るときに使うほか、生地を分けるときにも使います。

また温度や湿度で仕上がりが左右されるパン作りでは、仕込み水や生地の温度を計るために「温度計」「湿度計」も欠かせません。パンの生地に差して使える、デジタル式の温度計を使うととても便利です。

なぜ計量の道具が大切なのか

パン作りの道具というと何か特殊なものがあるかと思いきや、いきなり計量の道具と言われてちょっと驚いた方もいるかもしれません。しかし、分量を正確に計ることはとても大切なこと。なぜならプロのパン職人は安定して同じ味を再現し続ける必要があるからです。お客様がパンを買いに来る時に求めているのは、「いつものあの味」です。

もし目分量だけでパンを作っていたとしたらどうでしょうか。きっと日によって味が微妙に変わってくるはずです。時には大きく変わることだってあるかもしれません。「プロはいちいち計量なんてしなくても作れる」と勘違いしている人もいますが、プロだからこそ正確に計量しながらパンを作っているのです。

これは温度計や湿度計でも同じです。毎回同じ味を再現するためには、発酵の時間などを考えて、毎回同じ温度と湿度でなければなりません。そのような意味でも温度計と湿度計は、とても重要な意味合いを持っているのです。

仮にあなたが働くパン屋の味にムラがあり、毎回違う味や焼きあがりだとしたらどうでしょうか。きっとお客様は違和感を持ち、そのうち離れていってしまうでしょう。おいしい日とおいしくない日があってはいけません。

いつもおいしい「いつものあの味」のために、計量の道具が大切なんですね。

パンの生地作りに使う道具

パンの生地作りでは、粉をふるうための「ふるい」や、生地を混ぜるための「ボウル」を使います。ボウルは、熱が伝わりやすいステンレス製のものなら、湯せんにかけたり冷やしたりする際に重宝します。

生地を混ぜるときは、真ん中に穴が開いているヘラ「こね杓子(しゃくし)」を使い、生地をこねたり伸ばしたりします。穴が開いているので抵抗なくスムーズに生地を混ぜられるのでとても便利です。
生地をパンの形に整えるときに使う「こね板」はさまざまなタイプがありますが、パンの生地をこねるときはかなりの力が加わるので、こね板が動かない、安定感のあるものがおすすめです。生地をこねているときにどうしてもこね板が動く場合は、板の下にしく滑り止めシートを準備すると良いでしょう。また、発酵する時間を正確に計るために「キッチンタイマー」を使います。

生地を成型し分割する段階になると、生地を伸ばしたり空気を抜いたりするために使う「麺棒」や、分割やならしの際に使用する「スケッパー」、食パンやなどパンの種類に合わせた「型」を使うこともあります。

パン作りは生地作りが命、だから道具にもこだわろう

パン作りで最も重要な工程は、生地作りだといっても言い過ぎではありません。なぜなら生地の出来がパンの出来にそのまま影響してしまうからです。たとえばダマが残っていたり、しっかりと混ざっていなかったり、均一に熱が伝わっていなければ、よいパンができないのは明らかです。

ですから生地づくりに失敗しないためにも、道具には最大限こだわりたいところですね。代用できるものは代用してもよいですが、ボウルやふるい、こね杓子などはパン作り用のものをかならず使い、基本に忠実に作りたいところです。

自宅でパンを作りたいのであれば、キッチンにある身近なもので代用してもよいでしょう。ですがプロの味により近い、おいしいパンを焼き上げたいのであれば、少しでもいいのでパン作りに適した道具を揃えるとよいと思います。

本物のパン職人ほど、基本に忠実で正確な生地作りをするものです。パン作りの道具も含めて、何ごとも基本が大切なんですね。

調理機器

パンの焼き上げに使うオーブンは、上下からの熱で焼き上げる「デッキオーブン」と、熱風でこんがりと焼き上げる「コンベクションオーブン」が使われています。

また、ガスオーブンか電気オーブンかによってもパンの焼き上がりが異なるため、お店によって取り扱うオーブンが異なります。蒸しパン作りをする際は「蒸し器」が使われることもあるようです。

調理機器に関しては、お店に設置してあるものを使うことになるでしょう。ですから選ぶことはできませんが、オーブンなどの基礎知識はしっかりと覚えておきたいところですね。とくに温度管理に関しての知識は、しっかりと勉強しておきたいですね。

そのほか用意しておきたいもの

上記で紹介した道具以外にも、パンを発酵させるときに生地を上に乗せる「キャンバス地」、焼き上げたパンを冷ますための「ケーキクーラー」も持っておきたいものです。

ほかには、フランスパンなどの表面に切り込みを入れる「クープナイフ」もあると便利です。また、最適な温度と湿度でパンを発酵させることができる「発酵器」も準備しておくと効率よく作業をすすめられます。

少しでも早く技術を身につけるためには、上述した道具をできるだけ早く使いこなせるようになる必要があります。しかし、全ての道具を一気にそろえたからといって、全部を使いこなせるとは限りませんし、調理機器類は決して安い物ではないので、金銭的な負担もあります。まずは、修行や勉強の進み方に合わせて、必要となった道具から少しずつそろえていくようにしましょう。

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