製菓の専門学校、何を学ぶことができるの?
2018年10月18日
パティシエやショコラティエ、和菓子職人といった、製菓のプロを目指したいという人は年々増え続けています。
そしてそんな製菓についてのあらゆる知識を身につけられるのが、製菓の専門学校。
もちろんそのまま製菓店などに就職して勉強することもできますが、製菓の専門学校でなければ学べないことがたくさんあるのです。
これからお菓子の世界で一流を目指すなら、まずは学校でしっかりと学ぶことがオススメ。
ここでは製菓の専門学校で学べることや、卒業後に活躍できる場所についてご紹介します。
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製菓の専門学校を卒業後はどうなるの?
製菓の専門学校を出るメリットはたくさんあります。
その中でもとくにメリットが大きいのは次の2つ。
- 様々な資格を取得できるので認められる
- お菓子作りに関する仕事に就職できる
当たり前のように聞こえますが、実はとても重要なことなのです。
この違いがあるかないかで、選択肢やキャリアアップの可能性が全く違ってきます。
様々な資格を取得できるので認められる
製菓の専門学校では、卒業までにいろいろな資格を取得できます。
- 製菓衛生師
- 専門士
- 菓子製造技能士2級(受験資格)
- パン製造技能士2級(受験資格)
- サービス接遇検定
- 商業ラッピング検定
- 食生活アドバイザー
- コーヒーアドバイザー
など、学校や専攻するコースにもよりますが、こんなにたくさんの資格の取得が可能です。
単純に資格をいくつか持っているだけでも、周りの人から見られる目は全然違います。国家資格である製菓衛生師や菓子製造技能士などを持っているだけでも、その道の専門家として見てもらえるでしょう。
たとえば製菓の専門学校で目指す人の多い職業のひとつに「パティシエ」がありますが、パティシエそのものには資格はありません。その代り「プロのパティシエ」として認められるための一つのステップとして、専門的な知識や技術の有無は重要です。
就職では専門学校で基礎を全て学んでいること、そして資格を持つほどの知識と技術があると認められやすく有利でしょう。さらに独立開業の際にも、食品衛生責任者の登録が申請のみで可能になるなど、優遇されます。
お菓子作りに関する仕事に就職できる
製菓の専門学校を出ると、もちろんお菓子作りに関する企業への就職が有利。
そのため専門学校を出ているかいないか、資格を持っているかいないかで選択肢はかなり大きく変わります。
仕事の現場では、できるだけすぐに戦力になる人が欲しいもの。
もちろん企業側は、どのような人材でも育つまでに時間がかかることは理解しているものの、可能な限り早く仕事を任せられる人を求めています。
ですから学校でしっかりと基礎を学んでいること、資格を持っていることが分かりやすい指標といえます。同程度の能力を持っているのなら、資格を持っている人が優先されて採用されるのは自然な流れなのです。
お菓子作りに関する人が働く場所は?
お菓子作りの専門学校を出たあとに働ける場所は、このようなところです。
- 洋菓子店
- 和菓子店
- ホテル
- レストラン
- ベーカリー
- カフェ
- 結婚式場
- 製菓企業
やはり代表的なのは、洋菓子店や和菓子店です。
洋菓子や和菓子づくりのプロとして、工房で仕事をするほかにも、お店によってはホールでの接客をすることもあるでしょう。
製菓の専門学校に通う人は、お菓子づくりのプロを目指していますので純粋にパティシエや和菓子職人としてのスキルが磨けることがメリットですが、店舗は少人数であることが多いため、様々な業務があり、忙しいことがデメリットです。
次にホテルやレストランを見てみましょう。
こちらはオシャレな空間で料理を楽しんでもらい、その中でもデザート専門のプロとして活躍する仕事です。客層も幅広く、センスや技術もかなり問われますから、ホテルやレストランでの仕事も、かなりやりがいがあります。
ホテルやレストランでは、勤務するパティシエの人数が限られているため、全般を任されるケースも多くなります。そのため全ての工程を担当でき、技術を磨けるメリットはありますが、その分責任も重大です。また、ホテルにはベーカリー部門もあります。
活躍の場は結婚式場にもあります。
主に、ウエディングケーキや、コース料理のデザートを担当します。人生の大きなイベントで重要なポジションを占めるウエディングケーキを担当できることは、非常に誇れる仕事で、その分やりがいも大きいです。
その反面、流れ作業で特定の工程だけを担当する場合もあります。また結婚式はやり直しがきかないため、ケーキ作りを失敗できないというプレッシャーが常につきまといます。
さらに製菓関連の企業に就職する選択肢もあります。一般的な洋菓子店や和菓子店ではなく、大手の製菓企業も忘れてはなりません。
大手の企業でも、お菓子の専門家を求めているケースがありますので、タイミング次第では、そのような分野への就職も可能となるでしょう。
一般の求人では、なかなか接点がなく就職が難しい企業でも、信頼のある専門学校を卒業することで、活躍できるフィールドはどこまでも広がるのです。
製菓専門学校で学べるお菓子のバラエティ
製菓専門学校で学べるお菓子には、つぎの5つが代表的です。
- 洋菓子
- チョコレート
- カフェスイーツ
- 和菓子
- パン
もちろん同じ製菓専門学校でも、それぞれ学科があります。
パティシエやショコラティエを目指す科、和菓子のプロを目指す科、製パンのプロ目指す科、というように分かれているケースが多いです。しかしどの科でも共通しているのは、洋菓子・和菓子・パンの基礎は必ず勉強することです。
洋菓子
製菓の専門学校で学ぶ代表格が洋菓子です。パティシエを目指すために、洋菓子全般の理論や技術、つくり方を学びます。
生菓子や焼き菓子などにはじまり、はじめのうちは理論を覚えるだけでも大変かもしれません。ひとことに洋菓子といっても、生菓子や焼き菓子などがありますから、勉強することはとても多いです。
チョコレート
洋菓子の中に含まれることの多いチョコレートですが、じつは私たちが考えている以上にデリケートな食べ物。素材の産地から加工、熱の加え方まで、ちょっとしたことで風味が変わるため、非常に奥が深いお菓子なのです。
だからパティシエとはべつに、「ショコラティエ」と呼ばれるチョコレートを専門にした職業があるほど。海外のショコラティエは、チョコレートに関して高い知識を持つ専門家として、尊敬される仕事です。
和菓子
お菓子の世界は洋菓子だけではありません。
専門学校では、とても奥の深い和菓子についても学べます。
日本の伝統的な文化である和菓子は、四季折々の素材やデザインが必要で、洋菓子とはまったく違う知識と技術が求められます。見た目のシンプルさからはわからないほど、高度な技術と知識が必要。
ただお菓子を作る技術だけではなく、和の文化を理解する必要がある、非常に奥が深い世界です。
カフェスイーツ
コーヒーや紅茶に加え、最近はフローズンやラテアートなどのアレンジドリンクも流行っていますよね。
また、デザートや軽食も楽しめるカフェは、皆さんもよく利用されると思います。カフェスイーツとは一般に、パンケーキやクレープなどいわゆる皿盛りのスイーツ(アシェットデセール)のことを指します。一つひとつのお菓子をきれいに作ることはもちろん、お皿の上にきれいにデコレーションする技術が求められます。
また、コーヒーや紅茶などドリンクに関する知識やお菓子や料理との相性(ペアリング)、カクテルやラテアートなどの製作技術なども必要になるでしょう。
パンだって学べる
製菓専門学校では製パン科を併設していることが多いです。
なぜならパンはお菓子とは切ってもきれない関係であり、お菓子のルーツはパンにあるからです。
パンの生地にお菓子が使われることもありますし、パンをベースにしたお菓子だってありますよね。ケーキなど「小麦粉の生地を使ったお菓子」は「パティスリー」と呼ばれますが、そのルーツは数千年前に始まったパン作りから派生したものなのです。
製菓専門学校で、実際に学べることは?
製菓専門学校で実際に学べることは次の二つです。
- 製菓の技術・知識を専門に学ぶ
- 製菓に関する資格を取る
どちらも重要ですから、就職先の選択肢を増やすためにも短い期間でしっかりと勉強したいですね。
製菓の技術・知識を専門に学ぶ
まずは何よりも製菓の道で働くために必要な知識です。
- 製菓技術(洋菓子・和菓子・パン)
- 製菓理論
- 衛生法規
- 公衆衛生学
- 食品衛生学
- 食品学
- 栄養学
- 社会学
- POPデザイン
- 接客マナー
- マネジメント
などなど。これでもごく一部で、製菓について学ぶことは、じつはまだまだたくさんあります。
現場で働きながらでは、ここまでたくさんのことを学習するのはむずかしいのが現実。
だからこそ学校でじっくりと学ぶことが大切です。
製菓に関する資格を取る
先ほどもご紹介しましたが、製菓の専門学校では製菓衛生師や菓子製造技能士などの国家資格だけではなく、接客のための資格などを数多く取得できます。
資格は飾りではなく、取得のためにしっかりとした専門知識と技術が必要とされるものです。そのため、就職する際の大きな武器になるでしょう。学校選びの際は、より多くの資格が取得できることを基準に選ぶのもよいかもしれませんね。
社会人経験者も製菓の専門学校で学べる
製菓の専門学校を目指す人の中には、一度、社会人経験をされた人もいることでしょう。「キャリアアップしたい」「憧れのパティシエになりたい!」という目標のために、これから製菓の専門学校に通いたい、と考えている人は、意外と多いのです。
もちろん社会人経験者でも、専門学校で勉強できます。中には大学を卒業してから、製菓の専門学校に再度入学する人もいるほど。
ですが様々な事情があり、昼間の学校に通えないという方でも心配はいりません。なぜならほかにもいくつかの方法があるからです。
夜間部で勉強する
ひとつめが夜間部に通うことで、昼間はお仕事をしながら、夜間に学校へ通う方法。
社会人経験者は、夜間部へ入学される方も多いです。
「すぐに仕事は辞めたくない」
「学費を捻出しながら学びたい」
こんな悩みは社会人経験者共通の悩みですが、その問題を解決できるのが夜間部なのです。もちろんパティシエの基礎の勉強から資格の取得まで、ゼロから勉強できます。
学校によってはお給料がもらえるインターンシップ制度も
京都製菓パン技術専門学校では、報酬付インターンシップと呼ばれる制度があります。この制度は、双方の協議のもとで、インターンシップ先である洋菓子店やホテルで昼間に仕事をしながら勉強できる制度です。
実際にお菓子づくりの現場で働きながら、学校での勉強もできることから、効率よく学べます。現場で体験することは非常に大きな価値がありますが、それだけでは資格の取得はできません。
反対に学校の授業だけでは、それぞれの現場ですぐに使える技術をマスターすることも、難しいことがあります。
つまり現場で働きながら学校で勉強するスタイルは、短期間で一人前になりたいという夢を叶えるために、適した方法といえるのです。
通信教育で国家資格を取る方法も
夜間部以外には、通信制の学校へ通うという方法もあります。
一部スクーリングと呼ばれる、学校に通って実習や授業を受ける日も必要ですが、大部分を自宅で勉強できます。勉強はしたいけれど、どうしても時間的に合わない、学校へ通えないという人には向いています。
また厚生労働省が行っている、教育訓練給付制度の対象講座もありますから、こちらと併用するのもよさそうです。
製菓の専門学校はどう選ぶ?
製菓の専門学校の選び方には、いくつもあります。
- 学費が安い学校
- 家から近い学校
- たくさんの資格を取れる学校
- たくさん勉強できる学校
- 就職しやすい学校
学校選びは迷うところですが、資格が取れることや就職しやすい学校を選ぶことが重要です。
とくに就職に関しては、出身校などで結果が左右されることもありますから、慎重に検討する必要があります。
製菓の専門学校で学べることまとめ
製菓の専門学校で学べることは非常に多く、洋菓子・チョコレート・和菓子・製パン技術など、専攻できる学科は多岐に渡ります。
各学科の基礎から応用の知識、そしてお菓子を作るための技術、さらに国家資格のための学習まで、すべてを学ぶことが可能。
製菓や製パンに関わる仕事は、資格を取得しなくても働くことは可能です。ですがキャリアアップを目指す場合、より高いレベルを目指す場合に資格は欠かせません。
日本では資格が非常に強い力を持つため、独占資格でない仕事でも、取得しているだけで有利なのです。
これから製菓に関わる仕事を目指すのなら、まずは専門学校で勉強するのが理想です。