京都製菓BLOG

世界と日本のお菓子の歴史

お菓子は私たちの生活を彩り、なくてはならないものとなっています。ふだん何気なく食べているお菓子にも、じつは長い歴史があります。

もちろん味わったり、実際に作って楽しむだけでもよいのですが、その歴史について知っておくと、もっとお菓子が好きになれるかもしれません。たとえばクッキーやビスケットの原型が、なんと数千年前にはすでにつくられていた、なんて聞くと興味が湧いてきませんか?

実は知るとおもしろい、お菓子の歴史についてご紹介します。

世界のお菓子の歴史はエジプトのパンが起源

お菓子の起源は、およそ8,000年前のエジプトで作られていたパンだとされています。

エジプトは小麦の栽培と製粉技術を、世界ではじめて生み出しました。そして小麦を練って焼いたものを主食として食べていたそうです。これがパンの原型です。その結果、安定した食料が確保でき、古代エジプト文明が発達していきました。

その中でナツメヤシ、牛や山羊の乳が使われはじめ、甘味や風味付けとして発展します。これがお菓子の原型です。

エジプトの遺跡の壁画にも、パンとお菓子を作っている様子が残っています。パンとお菓子が同じルーツであることや、こんなに昔から作られていたなんて驚きですよね。

ギリシャでたくさんのお菓子が生まれる

しばらくして古代エジプトは、ギリシャに攻め込まれて領土を奪われます。その中でエジプトの製パン・製菓技術がギリシャへと伝わり、油や鶏卵、はちみつ、フルーツなどが使われはじめます。

ここから本格的な焼き菓子づくりがスタートしました。

さまざまな儀式やイベントでお菓子が食べられるようになり、ギリシャでは今でもその文化の一部が残っています。とくにはちみつを使ったお菓子は、当時の形に近いままで愛され続けているのです。

各地の文化や風土に合わせて発展

その後はギリシャからローマへとお菓子の文化が伝わります。広大で華やかなローマ時代には、パンとお菓子は別のものとして、それぞれに職人が生まれました。

はじめは権力者たちの嗜好品や祭事のために作られていましたが、少しずつ一般の市民にも売られるようになり、広まりました。そして領土を広げていくローマ帝国によって、各地にお菓子づくりの文化が浸透します。時の流れでローマ帝国は崩壊しますが、その文化が残る中世ヨーロッパでは、さらに製菓技術が発展。

その結果、今のお菓子の原型となるものが多く生まれたのです。

日本のお菓子の歴史は大陸から伝わった

ヨーロッパを中心としたお菓子の歴史とは別に、日本のお菓子づくりの歴史についてもご紹介します。

そもそも菓子という言葉の語源は、古くは「果物」を指していました。その後、少しずつ日本固有のお菓子が作られはじめ、次第にこれが「お菓子」と呼ばれはじめます。

奈良時代に入ると、大陸から米粉と砂糖で味付けされた物が伝来し、お菓子はさらに多様化していきました。伝来当初は油で揚げたものが多かったようですが、少しずつ今の和菓子に近いものへと形を変えます。

南蛮菓子の伝来

室町時代に入ると、ポルトガル人やスペイン人から鶏卵と砂糖を使った、カステラなどの南蛮菓子が伝来します。

この出来事が日本のお菓子づくりに大きな影響を与えました。金平糖なども、もともとはこの時代に伝わったポルトガルのお菓子です。

伝来したお菓子をベースに独自の発展

点心や茶道との結びつきから、日本のお菓子は、少しずつ日本独自の発展をはじめます。公家やお寺などの祭事に欠かせなかった京菓子が発展し、江戸時代の庶民の生活に密着した多くのお菓子が作られました。

今私たちが口にする和菓子も、大半がこの時代の流れを汲んでいます。

開国によって洋菓子が浸透

江戸幕府が倒れ、主権が明治政府へと移ると、西洋からたくさんの洋菓子が伝わりました。

ドロップ・キャンディー・チョコレート・クッキー・ビスケットなどが一般的になり、国内でも多くの製菓会社が設立されます。こうして日本伝統の和菓子と、西洋から伝わった洋菓子の両方が浸透したのです。

 

いかがでしょうか。お菓子のルーツはパンと同じ、しかもエジプト時代に始まったという、非常に古い歴史があります。日本でも、室町時代にはあったお菓子は、私たちの日常生活にちょっとした彩を加えてくれます。歴史をしればさらに興味深くなるお菓子の世界を、深く学んでみませんか?

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